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北の屋台繁盛記 北海道十勝の元気プロジェクト

坂本和昭 著

全国の屋台ブームの先駆けとなった、帯広の“北の屋台”。空洞化した地方都市の賑わいを取り戻すことから始まったプロジェクトの全貌、成功の軌跡を、実際の現場を通して詳しくまとめた1冊。
国土交通省の「観光カリスマ百選」に選定されるなど、地域興しで注目される著者が、既成概念を覆す“破”常識な21世紀型「まちづくり」の成功の秘訣を一挙公開。法規制や行政のハードルの越え方、資金ゼロで起業する……新発想の人づくり、まちづくりの提案が満載。

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初版2005年7月29日 ISBN4-944098-71-5 C0063
四六変判/208ページ●定価 1,944円(税込)

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Contents

はじめに

第1部繁盛記
 第1章・今、なぜ屋台なのか?
  通りを元気にする/人のこころを温める/風土とフードが楽しめる
 第2章・繁盛のあかし
  帯広の新名所/小さな成功の好循環/冬の寒さ対策/目白押しのイベント
  地産地消/「起業塾」創設/反省点と課題
  【コラム】 起業塾/独立店レポート
 第3章・繁盛のしかけ
  繁盛の原動力/屋台づくりのポイント/屋台の形と大きさの意味/暖簾の効用
  きれいなトイレは必要不可欠/屋台は店主で流行る/パフォーマンスを見に人が集まる
  シンボルとしてのイキヌキン像/ネーミングの重要性/ゆずりあいの精神
  地産地消の効果/屋台の休日
 第4章・ここからはじめるまちづくり
  集団と個/北の屋台はインキュベーター/新しい屋台発祥の地として
  場所の意志とまちづくり/非常識と破常識/身近な人々の活動
  他人の評価/組合の役割とリーダーシップ/屋台とフードコート/今後の夢と課題
  21世紀を生き抜くまちづくりを

第2部誕生記
 第1章・場所の意志とは?
  帯広の現況/十勝環境ラボラトリーの活動
  十勝環境ラボラトリーの発足まで/都市構想プロジェクト
  【コラム】 帯広の商業史/昔の屋台
 第2章・北の屋台構想
  自分たちのお金でできること/「北の屋台ネット委員会」発足
  日本の屋台の現状/法律面のクリア
  【コラム】既存屋台はどうなってる?/世界の屋台
 第3章・北の屋台が動き出す
  屋台の4つの難儀の克服/屋台に向く気候とは?/店主募集の宣伝戦略
  開業場所の決定/建築基準法と消防法のクリア
  【コラム】ちょっと小粋なシンポジウム/ デザインコンペティション/寒さ体感実験

補章「まちづくり」の商い考
  通り考/広場考・市場考/現代の商い/商いと芸能
  見世物小屋の楽しみ/ハレとケについて
  【コラム】屋台の歴史

●参考文献
●「北の屋台」資料編
●あとがき

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はじめに
今、全国的に屋台がブームです。このブームは、私たち帯広の北の屋台が火を点けたと自負しています。2001年7月末にオープンした北の屋台は、毎年着実に右肩上がりに成長を続け、04年度(04年4月〜05年3月)は帯広市の人口(17万2000人)以上の、17万3000人の集客と3億円を超える売り上げを記録しました。
この実績が中心市街地活性化の成功事例として紹介されたことで、全国各地に北の屋台をモデルとした屋台村が2005年中に30ヵ所ほどもできます。
しかし、北の屋台の表面上の形式だけを真似しても決して上手くはいかないでしょう。屋台には200年以上も前から、先人たちが経験と苦労によって積み上げてきた深い智恵がぎっしりと詰まっています。その智恵の本当の意味を理解しないまま、効率化や利便性のみを追求して現代風に改悪してしまうと、「屋台」を運営することの意義そのものが失われてしまうのです。
私たちは、「中心市街地の活性化」には「人と人とのコミュニケーション」が必要不可欠だと考えました。効率一辺倒で、人手を省きコミュニケーションを不要にするセルフサービスが基本の大手資本の商売とは対極にある、人の個性が最大限生かせる商売とは何か? という問いの解が、「屋台」だったのです。
零細企業が開発しても「よい商売」であれば大手はヘッチャラで真似をしてきます。小資本の零細企業が大手に対抗して、効率化で競争し「乾いたボロボロのぞうきん」を絞ってもやがては千切れるだけです。そして最後には資本力で蹴散らされて負けてしまうのです。
であれば、最初から絶対に大手資本が参入して来ることができない「よい商売」というのはないのか? と考えたのが「屋台」だったのです。
屋台は「人」がすべて。「コミュニケーション」が存在しなければそれは「屋台」とは言えないのです。屋台は働く人の個性が輝く商売だから、マニュアル化することが不可能なのです。マニュアル化された対応しかできないロボットのような店員を使う大手チェーン店は、決して参入することはできません。
全国に屋台村がたくさんできたとしても、そして、たとえ北の屋台とまったく同じ業種の屋台が並んだとしても、働く店主の個性は全員異なるはずです。チェーン店の、全国どこの町に行っても同じ店舗デザインで同じ商品、同じサービスという商売と、屋台とは根本が違うのです。地産地消を心がければ地域の特色も出せるのです。ですから、北の屋台のノウハウを他の場所に提供することに、まったく抵抗はありません。
しかし残念ながら、後発の屋台村は私たちの理念をしっかり咀嚼しないまま、ただ単純に屋台村は流行るからとはじめるところが多いようです。
この本には私たちの、「まちづくり」に対する理念がギュウギュウ詰めになっています。ぜひとも、これから屋台村をはじめる人たちには熟読していただきたいと思います。
また、そうでない人にも、屋台の歴史などもたくさん盛り込みましたので、読みものとしてお楽しみいただければと願っています。
(P16〜18:はじめにより)

編者紹介

坂本和昭(さかもと・かずあき)
1958年1月29日帯広市生まれ。駒澤大学法学部を卒業後、家業に就く。92年、坂本ビル(株)・坂本商事(株)代表取締役社長就任。96年、十勝環境ラボラトリーを設立。00年、北の起業広場協同組合を設立し、人の個性が輝く事業を推進して帯広の地域活性化、まちづくりに力を注ぐ。05年、内閣府等から「観光カリスマ百選」に選定され「屋台村を核とした観光・地域づくりのカリスマ」としても活躍中。全国各地に「北の屋台」をモデルとした屋台村が続々と誕生しており、講演活動に忙しい毎日を過ごしている。妻、一男二女の5人家族。趣味のマジックは玄人はだし。
受賞歴/02年「北のまちづくり賞・北海道知事賞」、同年「北海道新聞社北のみらい奨励賞」、04年「日本都市計画家協会賞・大賞」、同年「あしたの日本を創る協会ふるさとづくり賞・内閣総理大臣賞」。

北の起業広場協同組合
北海道帯広市西2条南9丁目16番地 坂本ビル4階 TEL:0155-23-8194/FAX:0155-23-8193

北の屋台
ホームページ http://www.kitanoyatai.com/

関連書籍
『北の屋台読本』 メタ・ブレーン(2001年)

新刊紹介(『経済』新日本出版社/2005年10月 No.121)
「手品の発想」・・全国に屋台ブームをつくった仕掛け人である著者は、屋台復活の極意を自らの趣味のマジックに例えた。冬は極寒の帯広市で、厚い法規制の壁のある屋台なんて不可能。その「不可能」を逆手にとって、中心市街地の一画に屋台18店舗が並ぶ「北の屋台」を開設。年間17万人ものお客を呼び寄せ、街に活気をとりもどしつつある。
その屋台表現の「種明かし」は、発足までの経緯と、開店後の4年間の歩みが書かれた本書を一読されたい。ただ筆者は「種」が分かっても、それだけでは「まちおこし」はできない、と釘を刺す。十勝地方という「場」に徹底的にこだわった「地産地消」の実現、魅力あふれる接客ができる人材育成の努力など、地域活性化のための総合的な戦略を展開している。

「北の屋台」繁盛の軌跡(北海道新聞/2005年7月26日掲載)
帯広市の観光名所にまで成長した「北の屋台」を運営する北の起業広場協同組合専務理事の坂本和昭さんが屋台開業後の四年間の軌跡を振り返った「北の屋台繁盛記」が、メタ・ブレーン社から出版された。 坂本さんは「屋台運営の秘訣を紹介している。関係者の参考にしてほしい」と話している。
「繁盛記」のなかで坂本さんは、北の屋台が年間約十八万人を集客するまでになった背景に「意図的に作った(屋台の)不便さから生まれる人々の交流がある」と指摘。いすといすの距離を狭め、客同士が話しやすい環境をつくったことが、にぎわいにつながったと分析した。
また、集客のためにイベントを繰り返し行ったことや、地元農家の出店による「地産地消」を実現したことも紹介している。
今後の課題としては、客の滞留時間が長く、福岡の屋台と比べて回転率が悪いことなどを挙げている。

上記のほか、 ●十勝毎日新聞(2005.7.26)●会議所ニュース(日本商工会議所/2005.8.1)●まちづくり新聞(新建新聞社/2005.8.25)などでも紹介されました。

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