野生の衝動  東アジアの美意識

黒川雅之 著

すべてのクリエイターのための思想書。
日中韓で活躍する建築家が見出した東アジア自然思想の総集編。
齢80にしてますます研ぎ澄まされる黒川思想のすべてがここに。

黒川記章の弟として、また同時に建築界で故人と双肩を担った著者は、日本国内より中国で広く認知されているかもしれない。それは建築家としての手腕もさることながら、家具や製品のデザインまで手がける「創作活動を通した思索」が、かの国の知識人たちの思想や美意識の琴線に触れるからなのだろう。

『建築などを創作することは人間とはなにかを考えることだから、そのまま思索と創作が共振し合うことになる。「野生の衝動」はこの日常的な創作活動が誘導して見えてきた思想である。気付けばこの「野生の衝動」は人間の原点回帰の主張になっている。それは生まれながらのすぐれた野生をもう一度、取り戻そうという主張である。二進法的なデジタル技術やそれによる人工知能やロボットの発想はまさにここでいう野生の衝動につながり、野生の回復への主張になっている。デジタルという真逆に見える発想が実は野生の感覚につながっている。 (あとがきより)』

>>著者紹介

初版2017年2月 ISBN 978-4905239659
A5判/260ページ ●定価 1,944円(税込)

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序章 価値の根源を探る

東アジアの美意識 自然思想   

1 美の構造論 微細と群
 1.今・此処_now & here/2.願望_desire/3.皮膚感覚_skin sensation/
 4.群_network/5.共振_resonance/6.不安定_instability/
 7.乱_random/8.偶然_accident

1 美の構造論 微細と群
 1.今・此処_now & here/2.願望_desire/3.皮膚感覚_skin sensation/
 4.群_network/5.共振_resonance/6.不安定_instability/
 7.乱_random/8.偶然_accident

2 美の空間論 混沌と分析
 9.渾沌_chaos/10.分節_segment/11.寓話_allegory/12.陰陽_yin & yang/
 13.気・余白・間_energy & reverberations/14.無_nothingness/
 15.不安_anxiety/16.うつろい_transition

3 美の創作論 挑発と抑制
 17.抑制_restraints/18.誘惑_temptation/19.挑発_provocation/
 20.差異化_catabolism/21.反転_reverse/22.逆説_paradox/
 23.曖昧_ambiguity/24.原型_archetype

終章 世界の中のアジアの文化
 1.東方の美意識とはなんだったのか?/2.ダイマキシオン・マップと出会う/
 3.アジアを左右する大きな事件/4.インドシナ半島と中国の中間帯/
 5.東方の島国は古くは陸続きだった/6.オーストリアから南米への文化の道/
 7.太平洋沿岸の火山地帯と「文化の流れ」/8.アジアは巨大な文化の交差点だった/
 9.中国、朝鮮、日本、インド、4つの文化の特異性/10.東アジアと東南アジアの海洋文化/
 11.世界の中のアジアの文化/12.世界の3つの文化圏

あとがき

 

黒川雅之 くろかわまさゆき
建築家・プロダクトデザイナー。1937 年、名古屋市生まれ。
天津大学客員教授( 中国・天津)、復旦大学客員教授( 中国・上海)、深?大学客員教授(中国・広東)、屏山書院名誉院長( 韓国・慶州)、金沢美術工芸大学芸術博士。日本インダストリアルデザイナー協会、日本デザインコミッティー会員、日本建築家協会会員、日本文化デザインフォーラム副理事長・代表幹事などを務める。毎日デザイン賞、グッドデザイン金賞、ドイツIF賞など受賞暦多数。著書に『デザイン曼荼羅』『デザインの修辞法』『八つの日本の美意識』『デザインと死』など。

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