逆襲しない猛虎 2017  ―鯉に虎の尾は踏めない―

春B伝 著

この道40年、ただの阪神ファンが、根拠なき熱狂の実体を検証する。08年から続く阪神戦記第10弾。

2016 年10 月1日、長いシーズンがやっと終了した。これほど希望のない阪神は90 年代の暗黒時代以来、久しぶりのような気がする。
16 年の阪神は、143 試合を64 勝76 敗3 分の4 位、勝率わずかに.457 で終えた。首位広島に24.5 ゲーム差、3位DeNA にも5.0 ゲーム差は、「惨敗」としか評価できない。しかも上位球団の広島に7勝18敗と、広島の貯金37 のうち、11 は阪神が献上したから、広島独走の「戦犯」である。
2017 年の月刊タイガース新年号で、金本監督は2016 年の野手陣について、主力の4枚(福留、鳥谷、ゴメス、西岡)に、中堅2枚(おそらく上本、今成、大和、新井良、伊藤隼のうち2枚)と若手2枚で乗り切るつもりだったことを開示したが、とすれば、福留を除く主力・中堅野手の総崩れが構想の狂いを招いたと総括するのが正しいようだ。リーグ最下位のチーム打率.245、5位の90 本塁打(6位中日89 本塁打)と506 得点(6位中日500 得点)の貧打線チームが4位で済んだのは、リーグ2位のチーム防御率3.38 でチーム得失点差△ 40 点にとどめた投手陣の頑張りのおかげである。ちなみに、5位ヤクルトの得失点差は△ 100 点、6位中日の得失点差は△ 73 点だった。2年連続セーブ王のオ・スンファンが流出した中、投手陣はよく踏みとどまったと、ほめてよい。
こういうチームはまず投手陣を補強してから打線のてこ入れをするのが普通だが、監督もフロントも「打撃のチームを作りたい」ということで、オフのドラフト会議では豊作の投手陣には目もくれず、大型内野手の大山(白鴎大学)を1位指名し、FA 補強でも糸井(オリックス)を1点買いして、補強を終了してしまった。
毎年言っているが、翌年のチーム順位はオフのフロントの補強ぶりで決まる。巨人、DeNA の積極補強と比較して、阪神はずいぶんとおとなしい。フロントは、とりあえずA クラス入りを目標にしているようだ。プラス材料が少ないので、あとは金本監督が秋季キャンプで手塩にかけた若手野手陣の成長だけが頼りだ。136 安打の山、105 安打の北條、95 安打の原口に、41 安打の中谷、40 安打の江越までは期待をかけたい。金本監督の前年の投資が実るか、一文無しになるか。2017 年は、少なくとも2016 年よりは中身のあるシーズンとなることを願ってやまない。《まえがきより》

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初版2017年5月 ISBN 978-4905239734
A5判/182ページ ●定価 2,376円(税込)

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まえがき  

第1章 2016年は超変革だったか?
第2章 オタク×2のベストナイン
第3章 監督・コーチ
第4章 投手
第5章 捕手
第6章 内野手
第7章 外野手
第8章 2017年の新戦力
第9章 2017年の展望

参考文献 参考映画 参考DVD
阪神 A to Z
あとがき

 

春B伝 ハル・ブリーデン
1956 年東京生まれ。'79 年慶應義塾大学経済学部を卒業。大手都市銀行から美容業、介護ベンチャーを経て、現在出版社に在籍。'85 年も良かったが、田淵の前後をラインバックとブリーデンが固めたシーズンをひたすら懐かしむ、ファン歴40 年超のただの阪神ファン。

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