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ビートルズ:二重の主旋律 ジョンとポールの相聞歌
喜山荘一 著
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ジョンとポールは互いへの友情という「愛」を謳い、感情をぶつけあいながら、数々の名曲をつくりあげていった…。世代を越えて愛され続けるビートルズサウンドの魅力は、メロディとともに訴える強烈なメッセージ性にある。その言葉に耳を傾け、今一度丁寧に聴き直すと見えてくるものとは。二人の「愛」、なぜビートルズは解散したのか---。
ジョンとポール、二人の関係からビートルズ作品を論じた意欲作。
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初版2005年9月1日 ISBN4-944098-72-3 C0073
A5判/240ページ●定価 1,944円(税込) |
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●はじめに
協働●「レノンーマッカートニー」
1●釣りあう天秤/When I'm Sixty-Four
2●レノンーマッカートニー/She Loves You
3●汎レノンーマッカートニー論/Twist And Shout
4●ミルキー・ウェイ/Eight Days A Week
5●レノン図形/Norwegian Wood
6●マッカートニー図形/Here, There And Everywhere
成就●ビートルズ時代・1
7●ひとめ惚れ/I Saw Her Standing There
8●相聞歌のはじまり/Love Me Do
9●ノリよく機知に富むジョンの返答/Please Please Me
10●意義深い転調/From Me To You
11●恋の成就/I Want To Hold Your Hand
12●素直に表現するということ/All My Loving
13●帰る場所/A Hard Day's Night
14●蜜月/Things We Said Today
15●声に惚れる/You Can't Do That
16●返事がない/No Reply
17●何に負けたのか/I'm A Loser
18●突然の転調/Baby's In Black
19●「助けて」というメッセージ/Help!
20●愛を隠す/You've Got To Hide Your Love Away
21●器を大きくする/We Can Work It Out
22●束の間のおだやかさ/In My Life
23●ポールの証言/In My Life
24●誰がつくったのか/In My Life
解体●ビートルズ時代・2
25●転移を印す/Tomorrow Never Knows
26●何でもあり/Got To Get You Into My Life
27●綱引き/Day Tripper/ Paperback Writer
28●少年期を解放する/Strawberry Fields Forever
29●Positive/Negative/ Getting Better
30●予定調和/A Day In The Life
31●アジールをつくる/You Know My Name (Look Up The Number)
32●パートナーとファン/All You Need Is Love
33●私は泣いている/I Am The Walrus
34●なぜ、去るの?/Hello, Goodbye
35●いち抜けた/Across The Universe
36●力を抜く/Revolution 1
37●相聞を告白する/Hey Jude
38●やりなおしたい/Get Back
39●導いてほしい/The Long And Winding Road
40●受け容れる準備/Let It Be
41●共犯する/The Ballad Of John And Yoko
42●約束を守る/Give Peace A Chance
43●歌わせなかった理由/Oh! Darling
44●歌い続けられるべき子守唄/Golden Slumbers/Carry That Weight
45●遠望された終わり/The End
道程●アルバム編
46●無我夢中/PLEASE PLEASE ME
47●成就のバックグラウンド/WITH THE BEATLES
48●疾走するロマンティシズム/A HARD DAY'S NIGHT
49●幻滅のスロウワルツ/BEATLES FOR SALE
50●POPなSOS/HELP!
51●切ないターニングポイント/RUBBER SOUL
52●ポップ・デルタ/REVOLVER
53●ロックでけだるさを/SGT. PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND
54●レノン≠マッカートニー/MAGICAL MYSTERY TOUR
55●辞退するレノン/YELLOW SUBMARINE
56●白いニヒリズム/THE BEATLES
57●充満するセンチメンタリズム/LET IT BE
58●直交するリリシズム/ABBEY ROAD
蘇生●現在形
59●かみつくジョン・レノン/LIVE AT THE BBC
60●役割を交換する/Free As A Bird
61●「たまたま大成功しただけ」/THE BEATLES ANTHOLOGY 1
62●ポールの切なさすらのせて/Real Love
63●切なさから幻想性へ/THE BEATLES ANTHOLOGY 2
64●成熟・倦怠・遊戯/THE BEATLES ANTHOLOGY 3
65●60年代を通過する/THE BEATLES 1
66●33年目の応答/LET IT BE...NAKED
67●感性機械としてのレノンーマッカートニー/In My Life
●あとがき
はじめに
あのビートルズの作品を、ジョン・レノンとポール・マッカートニーのふたりが、お互いの恋愛にも似た友情の純粋感情をぶつけあったものとして聴きほぐしました。
誰だって音楽は聴きたいように聞いています。ましてビートルズであれば、数多の自由な聴き方があるでしょう。ぼくもそういうひとりですが、いつの間にか、ぼくの耳にはビートルズ・ソングがジョンとポールのふたりの想いのぶつけあいのように聴こえてきました。そしてそれはとても味わい深い体験のように思えたのです。
そこで、そんな聴き方を、ビートルズを聴きなれた人にも、これから聴く人にも勧めてみたくなりました。ぼくの深読みが的を外していることもあるでしょう。そんな勝手なことをしてと思う方もいるかもしれません。ところがどっこいビートルズは、ジョンとポールが二人の交換日記を作品にし、しかもあろうことか世界の聴衆を相手にそれを披露したと読みとってもびくともしない巨大な存在です。また、ぼくの勝手な聴きこみにすぎないとしても、そう聴こえるというリアリティを作家レノン‐マッカートニーはいつでも返してくれました。そのことは確かです。
万葉集のころ、恋慕や親愛の情を歌ったものを相聞歌(そうもんか)と呼びました。たった一度でいいから、相聞歌としてビートルズを聴くコースを体験してみませんか?
第1章から第3章(協働〜解体)までは、ビートルズ時代のシンボリックな曲をピックアップして恋路の道のりをたどっています。第4章(道程)では、それをアルバムの系列としてたどりなおしています。よく知られているように、彼らはアルバムをヒット曲の寄せ集めにはせずに、ひとつの作品として取り組みました。だから、作品の質が高いのは言うまでもないにしても、レノン‐マッカートニーの関係の構図もよく編みあげられているのです。そこで第4章は、一部、シンボリックな曲の道程と重なる部分もあるけれど、アルバム独自の相貌を見ることができます。
第5章(蘇生)は、90年代以降に訪れた、ビートルズの現在形をたどって、相聞をさらに深くたどってみました。ここでは、ビートルズが今まで以上に味わい深くなること請けあいです。
ただ、前から後ろへ読まなければいけないことはありません。どこから入っても、また、どこで読むのを止めても、ビートルズを味わうことができます。
それでは、ひとときのビートルズ体験を楽しんでください。そして、よろしければ感想を聞かせてください。
(P3〜4:はじめにより) |
喜山荘一 きやま・そういち
1963年、与論島生まれ。小学校に上がるころにビートルズは解散。同時代体験はないのにビートルズに囚われて四半世紀余になる。現在、マーケティング企業に勤務。著書に『図解
Eメールマーケティング実践講座』(インプレス/2000年)、『一億総マーケター時代の聞く技術』(阪急コミュニケーションズ/2005年)、『ウェブコミ!』(ランダムハウス講談社/2005年)がある。
●Mail
manyu@navi.hitobito.net
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